メールマガジン バックナンバー No.031

==================================================================

環境・持続可能な社会へのみんなの一歩
                    グリーン・フォワード 
http://www.greenforward.org
No.031  2005/4/5
==================================================================
《目次》
●01:グリーン・フォワードからのお知らせ
●02:持続可能な社会へのヒント
    - ESD
●03:オランダの開発教育
●04:「京都議定書目標達成計画(案)」への意見提出の呼びかけ

------------------------------------------------------------------

●01:グリーン・フォワードからのお知らせ

6月の環境月間に、練馬区環境月間行事が開催されます。
当グリーン・フォワードも出展予定です。
出展内容は、セミナーと環境ゲーム会を行います。
6/4(土):環境ゲーム会 「森林バイオマスすごろく」
      「薪く炭くKYOTO」さんと共催
6/5(日):セミナー 「地球温暖化、京都議定書、私たちにできること」
      講師:気候ネットワークさん

<グリーン・フォワードのサポーターになって頂けませんか?>
グリーン・フォワードは小さなNPOですが、新しい環境学習教材の開発により、
大きな飛躍を遂げようとしています。

詳しくはwebサイト http://www.greenforward.org/ の会員募集ページ
または、e-mail info@greenforward.org まで

メルマガへの皆様のコメントお待ちしておりますm(__)m

----------------------------------------------------------

●02:持続可能な社会へのヒント
     - ESD

ESD(Education for Sustainable Development:持続可能な開発のための教育)
とは何でしょうか?
これまで当メルマガでも何度か出た言葉ですが、ここで一度整理してみましょう。

まず、「持続可能な開発」の概要紹介します。
「持続可能」とは何か、「開発」とは何か、と細かく言うとそれだけでも大議論とな
るので、あくまで概要です。
「持続可能な開発」は、経済や社会や文化の開発が、将来世代に犠牲や負担を
押し付けることなく進められるもの、であると考えます。
一般的な定義は、ESD-J事務局のwebサイトなどをご覧下さい。
http://www.esd-j.org/whatsesd/

持続可能性(Sustainability:サステナビリティ)を損なうものとしては、環境破壊
や人権侵害、戦争、貧困、飢餓などが挙げられます。
これらを取って代わるもの、民主的な社会や、平和、グリーン経済、多様な文化
の尊重、公正な豊かさ、などが挙げられます。
このような社会を目指す教育がESDである、と言えるでしょう。

抽象的な定義ではありますが、特に新しい考えというわけではありません。
ESDを構成するものとして、環境教育、開発教育、多文化共生教育、福祉教育、
人権教育、平和教育、ジェンダー教育、地球市民教育、などが挙げられます。
これらの教育と同じく、ESDの特徴の一つは、そのプロセスが参加型であること
が挙げられます。

従来、バラバラに行われてきた上記の教育が、ESDというキーワードのもと、同じ
テーブルを囲むことができるようになった、というのが最大の成果であると感じて
います。
従来、純環境系(自然保護系)の団体は「開発」という言葉を嫌う場合が多く、両者
にはあまり接点がありませんでした。
しかしながら、「開発教育」はESDの中核を占め、環境教育と大きなつながりのある
ものだと考えています。

ここで、「開発教育」の定義を示してみましょう。
開発というと経済開発/工業開発をイメージされることが多いのですが、むしろ
人間開発/社会開発をイメージしています。
以下は、開発教育協会(DEAR)のwebサイトから開発教育の学習目標を、そのま
ま引用したものです。
http://www.dear.or.jp/deQ&Avol1.html

開発教育の具体的な学習目標として以下の5項目があげられます。

●多様性の尊重
開発を考える上で、人間の尊厳を前提とし、世界の文化の多様性を理解すること。

●開発問題の現状と原因
地球社会の各地に見られる貧困や南北格差の現状を知り、その原因を理解する
こと。

●地球的諸課題の関連性
開発をめぐる問題と環境破壊などの地球的諸課題との密接な関連を理解する
こと。

●世界と私たちのつながり
世界のつながりの構造を理解し、開発をめぐる問題と私たち自身との深い関わり
に気づくこと。

●私たちのとりくみ
開発をめぐる問題を克服するための努力や試みを知り、参加できる能力と態度
を養うこと。

また、ESDの特徴のもう一つは、学際的(様々な分野にまたがる学習)であること
です。
私は、ESDのキーワードを「つながり」であると考えています。
環境問題と開発のつながり、開発と人権、環境と経済、世界と地域、過去と現在、
食文化と農業、などなど様々なつながりが明示的だったり、暗黙的に見えてきます。
今まであまり関係のないと思っていなかったものの「つながり」を想像してみましょ
う。
私たちの毎日の買い物が、途上国の貧困や人権侵害に加担しているとしたら?
私たちの貯金が、途上国の環境破壊や戦争に加担しているとしたら?
状況が「つながり」的な場合、その個別の要素に対策することだけでは充分では
なく、むしろ、そのシステムを変えていくことこそが最大の解決法となります。

これらのつながりは想像以上に幅広く、多様で、深いものがあり、単純に捉えること
は困難です。
このようなつながりを解きほぐす手法として、「システム思考」というものがありま
すが、これはいずれ当メルマガで紹介したいと思います。

----------------------------------------------------------
●03:オランダの開発教育

オランダは開発教育の盛んな国のひとつです。
ただし、オランダの教育制度は非常にユニークで、日本の一律的な教育を体験し
た者からは想像できないほどの自由と多様性を兼ね備えています。
このオランダの教育については、いずれご紹介致します。
また、開発教育について語るとき、それは植民地政策についても触れなければ
なりません。
これもいずれ、ご紹介致します。

----------------------------------------------------------
●04:「京都議定書目標達成計画(案)」への意見提出の呼びかけ

政府の「京都議定書目標達成計画(案)」に対する意見募集(パブリックコメント)
が始まりました。
この意見募集は4/13(水)17時まで行われており(期間が通常の1ヶ月でなく2週間
と短いのも問題です)、その要領や意見を出す対象の計画案は、首相官邸の地
球温暖化対策推進本部のホームページ
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ondanka/pc/050330keikaku.html)に掲載され
ていますので、ご覧下さい。
 残念ながら同計画案は問題が多く、このままでは日本の京都議定書の6%削減
目標の達成が危ぶまれます。
 そこで是非、皆様にこの意見募集に対して前向きなご意見を多数ご提出頂きた
く思い、呼び掛けさせて頂きます。
政府の意見提出様式に特に指定はありませんので、1項目のみの短いご意見で
も構いませんので、是非お出し頂ければと思います。

以下、気候ネットワークさんが作成されたひながたとなる要点です。

<「京都議定書目標達成計画(案)」への意見提出の参考にして頂く要点>

1.二酸化炭素(CO2)排出削減目標の強化を
 京都議定書目標達成計画の目標として、計画案でエネルギー起源CO2全体で
プラス0.6%となっている目標を強化すべき。その分、森林吸収と京都メカニズム
への依存を減らすべき。

2.炭素税の導入が不可欠、政策・制度の強化を
 日本の温室効果ガス排出量が2003年で90年水準から8%(CO2では12%)増加
しており、床面積・世帯数・輸送量などが増加していることから、今後も放置すれ
ばCO2は増加傾向であり、脱温暖化社会への転換を促す制度の導入が必要。
住宅・建築物の断熱規制導入、住宅・機器・自動車の性能表示の義務化などとと
もに、炭素税の導入が不可欠。これを先送りしたことは温暖化対策への政策総
動員との決意を疑わせるもの。すみやかに導入を打ち出すべき。

3.産業部門の目標を強化し、事業者の削減を担保する施策が重要
 運輸では輸送量、業務では床面積、家庭では世帯数も床面積も増加している
のに対し、産業は生産量が減少しているにも関わらずCO2排出量は横這いにと
どまり、効率は悪化している。計画案のマイナス8.6%の削減目標は自然減程度
にすぎないので、産業部門の目標の強化が必要。
 温室効果ガスの算定・報告・公表制度は事業者が取組みを進め、真面目に努
力する事業者が正当に評価されるために重要。経団連自主行動計画を達成計
画に位置付けるのであれば、協定化、国内排出量取引制度など担保する施策を
導入すべき。

4.原発設備利用率87〜88%は論外である、撤回すべき
 原子力は放射性廃棄物など他の環境負荷をもたらすのでそもそも対策として
不適切である。原発の設備利用率を過去に一度もない87〜88%に引き上げると
いうのは、非現実的な数字合わせであり、目標達成を危うくするので避けるべき。
安全に配慮した余裕をもった設備利用率とすべき。

5.代替フロンは今から増やさず最低でも現状維持の目標に
 代替フロンは今後使用をやめるべきものである。現在まで減ってきているにも
関わらず、計画案では2010年に向けて大幅増加(現時点から2倍増)を容認して
いるのは問題である。大幅な目標強化をし、最低でも2002年レベル維持(現時点
から増やさないこと)とすべき。

6.外国から買ってくる京都メカニズムは極力限定を
 国内削減で先進国としての責任を果たすべきで、外国から買ってくる京都メカニ
ズムは最大でも1.6%に限定すべき。エネルギー起源CO2対策の中の電力のCO2
排出原単位改善1%相当分(CO2量としては基準年総排出量比0.3%程度に相当)
として、1.6%の外で京都メカニズムを使うことが既に盛り込まれているのは問題
であり、取り消すべき。

7.長期的ビジョンを示すこと
 90年から温室効果ガスが増加し続けてきたことを十分に分析し、同じ轍を踏ま
ない計画であることが必要。かつ、将来にはさらに大きく削減しなければならない。
第1約束期間は目前であり、少なくとも、上記対策をとるとともに、大量生産・大量
消費社会から脱却して、脱温暖化社会に移行していく方向性を明確にし、国民・
事業者・自治体などに緊急の取組みを促す計画であることが必要だが、その緊
迫感に欠けると言わざるをえない。

8.市民の意思決定過程への参加を
 温暖化政策は策定過程が市民に開かれたものであることが根本的に重要。
これまでの議論も、骨格が政府内の密室協議で定められ、そこに対策自体に消極
的な産業界の声が過大に反映されてきたもので、今回のパブリックコメントにおい
ても、その期間が2週間とされているのは、市民の意見を真摯に反映するつもりが
ないように見えるもので残念。短い間にも集まった市民・消費者の声をきちんと反
映させるべき。

==================================================================

環境・持続可能な社会へのみんなの一歩
                    グリーン・フォワード 
http://www.greenforward.org
No.031  2005/4/5

ご意見、ご感想、情報の提供は info@greenforward.org まで
==================================================================