メールマガジン バックナンバー No.037

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環境・持続可能な社会へのみんなの一歩
                    グリーン・フォワード 
http://www.greenforward.org
No.037  2005/12/25
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《目次》
●01:グリーン・フォワードからのお知らせ
    - webサイト更新
    - ライフスタイルフォーラム
    - TOKYOこどもエコクラブまつり
●02:エコな製品とは?

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●01:グリーン・フォワードからのお知らせ

1.「ねりまエコネット通信」に連載させて頂いた原稿をwebサイトに
  アップしました。
  http://www.greenforward.org/econet.html

2.2006年1/14(土)、1/15(日)に開催されるライフスタイルフォーラム
  http://www.lifestyle-forum.org/
  の分科会で炭素税(環境税)に関するセミナーが出展されます。
  グリーン・フォワードからも協力出展の予定です。
  http://www.lifestyle-forum.org/content/view/105/53/
  「炭素税/環境税ってどんな税?〜経済・暮らしがどう変わるのか〜」
  企画:「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
  日時:1月15日(日) 10:00〜12:00

3.2006年1/22(日)に開催される「TOKYOこどもエコクラブまつり」に出展
  予定です。
  ボランティアご協力頂ける方を募集致します。
  昨年の出展の様子
  http://www.greenforward.org/record.html


<グリーン・フォワードのサポーターになって頂けませんか?>
グリーン・フォワードは小さなNPOですが、新しい環境学習教材の開発により、
大きな飛躍を遂げようとしています。

詳しくはwebサイト http://www.greenforward.org/ の会員募集ページ
または、e-mail info@greenforward.org まで

メルマガへの皆様のコメントお待ちしておりますm(__)m

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●02:エコな製品とは?

今年もエコプロダクツ展 http://eco-pro.com/ を見に行ってきました。
非常に多くの企業や団体の出展があり、大変有益ですが、1日では
廻りきれないぐらいです。

エコプロダクツ展を見たことで、以前から気になっていた「エコな製品」に
ついて書いてみることにしました。

エコな製品、環境に良い○○、というのは曖昧な表現です。
ラベル化することにより、一定の基準を満たすことは可能ですが、本当に
持続可能な社会へつながる商品であるかどうかは、疑わしいものも多く
あります。

現時点、多くの企業は「売れる」商品を作ろうと努力しています。
中には、その商品では採算が取れなくとも、宣伝効果の十分あることを
狙った商品開発が行われる場合もあります。

今回、植物由来プラスチックについて取り上げてみましょう。
NTTドコモからN701iECO(NEC製)が発表されています。
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/26947.html

大変象徴的な製品だと思います。
ブースで実物に触りましたが、完成度が高く、射出成形用の植物由来プラス
チックもここまで来たのか、と驚きました。
開発に携わる皆様に大いに敬意を払うとともに、さらによい商品の開発を
期待します。

これは大切な一歩ではありますが、ほんの小さな一歩にすぎません。
ドコモの資料によれば、植物原料を約37g使用し、ABS樹脂と比較し、
CO2排出量を約50%削減しているそうです。
これはこれで素晴らしいことだと思います。
が、携帯電話などの商品の場合、気をつけなければならない点が2つあります。
それは、「不良品として廃棄されるもの」と「塗装」です。

・不良品として廃棄されるもの
(業界のタブーを書いてしまうのかもしれませんが…)
工業製品全体的に言えることですが、特に携帯電話は、製品(部品)の
外観品質基準が厳しい商品です。
0.1mmの異物やキズなどでも不良品とみなされます。

・塗装
携帯電話には塗装が不可欠です。特に日本の機種の場合はほとんど、塗装
(UV塗装)が行われています。
これはN701iECOでも例外ではありません。

なぜこれらが問題かと言うと、プラスチック成形生地では1%程度の不良率の
ものが、塗装品になると、10〜20%もの不良率となってしまう場合があるから
です。(塗装の要求仕様により様々です)
異物や、キズ、塗装にまつわる各種外観不良、色味の不良など、その多くは
一般人には、識別できないほどわずかな不良です。

不良と判断されれば、その部品は廃棄されます。
これら不良品は一部、別ルートでリサイクルされますが、携帯電話の部品材料
としては使われません。
材料としての物性が落ちるうえ、色味がおかしくなっているからです。

この厳しい外観基準を求めているのは誰でしょうか?
オペレーター?メーカー?
基準を設け、直接的に求めているのは確かにそうでしょう。
が、これを求めているのは一般消費者なのです。
メーカーは消費者からのクレームを聞き、また、より売れる商品を作るために
より難易度の高い加飾、より厳しい基準を設けるようになったのです。

塗料も樹脂でできています。
塗装は、吹き付け、乾燥、と成形工程以上にエネルギーを要する工程です。
つまりより多くのCO2を排出しています。

今回、シャープブースでは、植物系樹脂塗料の展示も行っていました。
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/051208-b.html
これも大変素晴らしい技術だと思います。

が、残念ながら現時点、この塗料はリサイクル対応ではありません。
塗装品のリサイクルはすでに幾つかの技術があり、例えばリペレシステム
では、塗装剥離する必要なく、すでに多くの製品で実用化されています。
http://www.suzukafx.co.jp/Jpn/CUSTOM/recycle.html
塗装されたプラスチック部品が、粉砕後、再度材料として利用されます。

生分解性樹脂は、このリサイクルという点でも疑問が残るものです。
まずは、長く使うこと(長寿命、耐久性)、そしてリサイクル。
生分解性樹脂は、この方向性とは異なるため、活用すべき用途は
慎重に見極める必要があると思います。
(例えば、短寿命で消滅するほうがよい用途)

また、別の動きとしてVOC(揮発性有機化合物)削減の要求もあります。
家電製品などで使われる塗料には、有機溶剤が含まれています。
VOC削減のため、水系塗料(溶剤含有率の低い塗料)への切り替えも
始まっています。
これ自体も大変良いことですし、必要なことです。
が、ここでも注意が必要です…

水系塗料の乾燥には、多くの熱量を必要とします。
(溶剤より水のほうが蒸発しにくいですね)
より高い乾燥温度、より長い乾燥時間が必要なため、CO2の排出は
増えてしまいます。

話をN701iECOに戻すと、この機種にもUV塗装が使われています。
製品側面のシルバー部は通常と同じく2コート。
ただし、表面積の多くを占めるピンクの部分は、UVトップコートだけの
1コート塗装となっています。
(かといって、負荷が低いわけでないのはあまりに専門的なので省略)
樹脂材料はケナフ繊維入りであることもあり、リサイクルの用途は非常に
限られてしまうでしょう。

なお今回、携帯電話や塗装品について取り上げましたが、
他の製品や、塗装のないものの場合でも、どのような要求仕様があるか、
という点に注意が必要です。
例えば部品点数が数万点に及ぶ自動車の場合、一つの仕様決定が
結果として大きな違いを生むことになります。

多くの製品の場合、製造過程よりも、使用過程でのエネルギー使用量が
最大となっていますが、今回、製品(部品)の製造工程から、
エコな製品について紹介してみました。
みなさんも、私たち消費者がどのようなものを求めているか、その影響を
考えながら商品選択をしてみてはいかがでしょうか?

私たち消費者が求めるものを企業は作っています。
消費者には大きな力があります。
その力を正しく理解し、持続可能な社会へと役立てましょう。

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今回のメルマガは、非常に硬くて分かりにくい内容だったかもしれません。
お詫びします。
これでもまだ、控えめに書いているのですが…
もし、ご質問などございましたら、お気軽にご連絡下さい。

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No.037  2005/12/25

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