メールマガジン バックナンバー No.056
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環境・持続可能な社会へのみんなの一歩
グリーン・フォワード
http://www.greenforward.org
No.056 2006/9/17
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《目次》
●01:グリーン・フォワードからのお知らせ
●02:アジアやアフリカの民話
●03:A
stitch in time saves
nine.
●04:スイッチングコスト
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●01:グリーン・フォワードからのお知らせ
グリーン・フォワードの次のイベント出展は、10/15(日)開催の
「練馬まつり 環境リサイクルフェア」の予定です。
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すみません、メルマガ毎週発行のペースが崩れてしまいました…m(__)m
まだネタ切れというわけではないのですが、どれを書こうとかと迷っているうちに、
ズルズルと遅れてしまいました。
書き上げてから、今回の目次のタイトルを読むと、環境系のメルマガでは
ないのかも?と思える見出しですね…
昨日9月16日は、「オゾン層保護のための国際デー」でした。
●02:アジアやアフリカの民話
以前、面白い話を読みましたので、ここに紹介させて頂きます。
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漁師が木陰で昼寝をしているところに旅人が通りかかった。
旅人は眠っている男を起こし、なぜ魚を捕まえないのかと尋ねた。
「家族の夕食に、もう2匹捕まえたよ」。
「もっと大きい網で、もっと長い時間漁をすれば、10匹は捕まえられるのに」
と見知らぬ男は言った。
「でも、2匹しか要らないのに、10匹も捕まえてどうするんだ?」。
「売ればいいだろう。毎日同じようにすれば、舟を買うお金が貯まるよ」。
「それで、どうするんだ?」
「もっとたくさん、魚を捕まえるのさ。人を雇って、もっと魚を捕らせることも
できる。金持ちになれるよ」。
「金を持って、どうするんだ?」。
「楽しい毎日が過ごせるさ。くつろいで、楽しく木陰で寝ることができるだろう」。
「今やっているみたいに?」と漁師は聞いた。
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この話には、色んなバリエーションがあるようです。
漁業会社を作り、ビジネスマンとして成功し、早期引退し、海辺でのんびり昼寝、
そしてやっぱり「今やっているみたいに?」とのオチです。
本当に民話なのかどうか、それも分かりません。
が、この短いお話の中に、考えさせられるものがあります。
本当に大事なものは何なのか。
お金というものが入ってくると、それ自体が目的化することはないか。
私たちも発展途上国の人たちに対して、この旅人と同じような感情を持つことは
無いか。
漁師の子どもは将来、漁をすることができるだろうか。
この漁師の姿は、「スローライフ」という言葉を思い起こさせます。
その概念はとても良いものだと思うのですが、最近はめっきり廃れてしまいました。
そのあとに出てきた言葉「LOHAS(ロハス)」が流行して、「スロー」の影が薄く
なってしまったためだと思いますが、今やそのLOHASも廃れつつあるようです。
単なる「流行語」となってしまうと短命となり、その本質を伝えることは難しいよう
です。
それでも、その本質は受け継がれ、やがて大きな流れとなることでしょう。
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●03:A
stitch in time saves nine.
またメルマガネタに困ったときの「英文ことわざ」頼りです。
A stitch
in time saves
nine.
時を得た一針は九針の手間を省く、とでも訳せるでしょうか。
タイミングよく先手で処置をすればわずかな手間で済むが、それを怠れば
あとで大きな手間となる、というような意味です。
環境問題に限りませんが、問題は小さいうちにつぶしておけばラクですし、
損失も最小限に抑えることができます。
とは分かっていても、筆者のような凡人にはなかなか実行できないのですが…
これは「予防原則」に通じる考え方だと思います。
一つほころびがあるからといって、常にそれが大きな裂け目になるとは限りま
せんが、将来のことは確実には予測できないのだから、予防のために一針
縫っておこう、というものです。
古く1950年代から、日本の優秀な製造業/工場ではこれに類似した
「Prevention
Maintenance:予防保全」が普及しています。(故障してから修理する
より、事前に整備しよう。現在では、生産保全、TPMへと進化しています)
これに比較して、「予防原則」の社会への浸透度が低いのはなぜでしょうか?
この理由の一つとしては、
・小さなフィードバックループのおかげで局所的な問題には対処しやすいが、
大きなシステム(社会や地球環境)は全体像が見えにくい
・責任者と実行者が異なる
ということが考えれます。
工場内では、実行者も責任者も自分(作業者と工場長)であり、利害関係が一致
しているのに対し、地球環境はそうではありません。
責任者は、自分から遠い「政府」であったり、被害を被るのは将来世代であったり、
自分がコスト(金銭・手間)を掛けて、予防をするインセンティブが乏しいと
言えます。
では、気候変動リスクに対処するための、最初の適切な一針のタイミングはいつ
だったのでしょうか?
ローマクラブの「成長の限界」が発表された1970年代以降、幾つもの大きな国際
会議が開かれているので、このあたりだったのでしょう。
北欧諸国では1980年代には既に、国レベルで本格的な検討に入り、1990年代
初頭には、炭素税導入などの施策を果たしています。
今すでに温暖化は大きく進行しているので、日本をはじめとする多くの国では、
三針も四針も縫わなければならないために、その手間と費用の大きさが目立ち、
迅速な対処を一層ためらわせるものにしてしまっているのかもしれません。
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●04:スイッチングコスト
上記のような切り替えのコストのことを経営学などでは、スイッチングコスト
と呼んでいます。(switchは切り替える、の意味)
従来のやり方から新しいやり方に変えるには、幅広い様々なコストが掛かります。
金銭的な費用だけでなく、作業の手間、それを覚えるための学習、慣れ親しんだ
ものを離れる心理的な壁、など多くのものがあります。
スイッチングコストが高ければ高いほど、新しいものへの切り替えは困難であり、
時間の掛かるものとなります。
エコな商品やサービスの普及を考えるうえで、このトータルなコスト比較が重要
であり、実際、消費者は(無意識でも)そのように選択しているのだということを
認識する必要があります。
箸や買い物袋のような身近なものから、交通や住居のような大きなものまで、
該当するコストは何か、コストバランスを転換させるにはどうすればよいのか、
幅広い検討が必要となります。
以後、このメルマガで単に「コスト」というとき、それはこのスイッチングコストの
ような、広い意味でのコストのことである、とご理解下さい。
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