メールマガジン バックナンバー No.061





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環境・持続可能な社会へのみんなの一歩
                    グリーン・フォワード 
http://www.greenforward.org
No.061  2006/12/31
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《目次》
●01:グリーン・フォワードからのお知らせ
    − blog更新、mixiレビュー更新
●02:カシミヤ、そして

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●01:グリーン・フォワードからのお知らせ

メルマガを年内ギリギリ滑り込みの発行です。
(って、多くの読者は年明けに読まれるかもしれませんが…)

blogのほうは週に数回更新しています。

また、mixiの「レビュー」で、3日に1回、本の紹介をしています。
これは決して3日で1冊読んでいるというわけではなく(^^ゞ
たまに、新しく読んだばかりの本のことを書くこともありますが、大半は以前
読んだものなので、(記憶も曖昧で)あまり明確な記述ができないものも多い
ので、ご容赦下さい。
「環境」関係の本と、それ以外の社会系の本を交互に紹介するように努めて
います。
グリーン・フォワードのwebサイトで紹介している本だけでは物足りない、
という方は、ご参照下さい。
3日に1冊のハイペースでは、そのうちネタ切れになるので、映画や音楽
なども紹介していく予定です。

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グリーン・フォワードは小さなNPOですが、新しい環境学習教材の開発により、
大きな飛躍を遂げようとしています。

詳しくはwebサイト http://www.greenforward.org/ の会員募集ページ
または、e-mail info@greenforward.org まで

メルマガへの皆様のコメントお待ちしておりますm(__)m

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●02:カシミヤ、そして

今回は、年末ということでメルマガ終盤がとても硬くなってます(^^ゞ

今年の東京は暖冬で、ここ数日でようやく冬らしい寒さが訪れました。
寒い日にはまず暖かい衣類が欠かせませんね。

暖かい衣類といえば、どのような素材を思い浮かべるでしょうか?
例えばカシミヤはいかがでしょうか?
数年前にユニクロが本格的に扱うようになって、ぐっと手頃な価格となりましたが、
まだまだ高級品というイメージです。
(当然、筆者には手が届きませんが…)

カシミヤって何から取れるかご存知でしょうか?
あまりに簡単な質問で気分を害された方もいらっしゃるかもしれませんが、
前号(No.060)テーマの科学リテラシーで、日本が散々な結果だったため
念のため尋ねてみました。
http://www.greenforward.org/bac060.html

答えは、ヤギです。(通称、カシミヤ山羊)

カシミヤ山羊1頭から、わずか150〜250グラムしか採取できない貴重品だそう
です。だから高価なのですね。
セーター1枚編むのに、カシミヤ山羊3〜4頭分のうぶ毛が必要になります。
コート1着だと、カシミヤ山羊30頭分も使います。

では、そのヤギはどこで何を食べているのでしょうか?

一般的にはヤギは放牧されて、草を食べています。
ただし、ヒツジが地上の草だけを食べるのに対し、ヤギは草の根っこまで
食べつくすという習性があります。

以前は羊毛(ウール)を取るためにヒツジを放牧していた牧畜家も、羊毛の
数十倍の価格で取引されるカシミヤを取るために、ヤギの放牧に転換するよう
になりました。
草原はあっというまに食べつくされ、土地が荒れ、砂漠化が進行しています。
いわゆる過放牧の状態です。

こんな年末に申し上げるのもなんですが、今年2006年は国連の
「砂漠と砂漠化に関する国際年」でした。
http://www.unic.or.jp/new/desert2006.htm

砂漠化の原因は気候変動(地球温暖化)をはじめ、幾つもあります。
(気候変動も人為的な影響を無視できないのですが…)
伐採、過放牧、不適切な森林管理、不適切な灌漑による塩害、など人間の
活動による影響も徐々に大きくなりつつあります。

では、牧畜家にヤギの放牧をやめろと言えるでしょうか?
牧畜家は、ヒツジからヤギへの転換で、経済的に豊か(貧困から脱出)に
なったかもしれません。(持続可能かどうかは甚だ疑問ですが…)
私たち消費者がカシミヤを求めるかぎり、誰かがそれを生産するでしょう。
牧畜家の経済的成長の機会を奪うこともできません。

解決の方向は、その生産(牧畜)のスタイルにあるのではないでしょうか。
過放牧とならない広大なエリアで、限定された頭数だけを放牧する、もしくは
自由放牧ではなく、一定のエリア内で飼料を与えて育成する、などです。
どちらも生産量は下がり、費用はかかります。
結果として、カシミヤはずっと高価なものとなります。
単価アップにより牧畜家の所得はある程度カバーできるでしょう。

高くなって困るのは私たち消費者?
でも、それって本当に「困る」という状況だと言えるのでしょうか。

結局、誰かから、何かから(自然環境などから)、収奪して、一時的に、
不当に安い価格が現れたとしても、それは長続きはしない、持続可能ではない
ということではないでしょうか。

もしカシミヤセーターを買うときに、砂漠が見えるとしたら、そのセーターを
買おうとする人はどれだけいるでしょうか。
残念ながら現在、小売店ではどのように採取された素材か、という情報提供は
ほとんどありません。

「安い」と感じたときに考えてみてください。
それは、人間の「知恵」の結果、安いのか。
それとも、誰か(何か)に犠牲をしいて、誰かから収奪しているから安いのか、と。

今年のメルマガで何度か同様のテーマで書いてきましたが、
私たちの生活・消費は、世界とそして未来とつながっていることを意識して、
生産者や小売業者などに、もっと情報提供を求め、方法の変更を求めることが
できるのではないでしょうか?

私たちはきっと未来を選び取れるはず。
それは私たちの「権利」であり、「責任」であり、チャレンジングな喜びでも
あるはず。
そう信じて2006年を終えることとしましょう。

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環境・持続可能な社会へのみんなの一歩
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http://www.greenforward.org
No.061  2006/12/31

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