メールマガジン バックナンバー No.067





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環境・持続可能な社会へのみんなの一歩
                    グリーン・フォワード 
http://www.greenforward.org
No.067  2007/5/13
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《目次》
●01: グリーン・フォワードからのお知らせ
●02-1: 京都議定書:「−6%は誤解かも」の補足
●02-2: 日本の排出量:「+8.1%はホントなの?」
●03: イベントのご案内 練馬区「環境月間行事」

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●01: グリーン・フォワードからのお知らせ

6月は環境月間。
今年も、練馬区の環境月間行事に出展予定です。
日程は、6月9日(土)、6月10日(日)です。
いずれも時間は午後の予定です。
皆様のご参加お待ちしております。(^o^)/
また、ボランティアご協力頂ける方も募集中です。

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グリーン・フォワードは小さなNPOですが、新しい環境学習教材の開発により、
大きな飛躍を遂げようとしています。

詳しくはwebサイト http://www.greenforward.org/ の会員募集ページ
または、e-mail info@greenforward.org まで

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●02-1: 京都議定書:「−6%は誤解かも」の補足

まず、前回の「●02: 京都議定書の日本の目標値は?」で、少し表現が
分かりにくかったと思いますので、若干補足させて頂きます。

もし、前号仮定のようにコンスタントに
2007年  +8% (←2005年とほぼ同じと仮定)
2008年  +4% (a)
2009年  −1% (b)
2010年  −6% (c) (2008年〜2012年 (a)〜(e) 5年間の平均で−6%)
2011年  −11% (c)
2012年  −16% (e)
直線的に、温室効果ガスの排出を減らすとした場合、
わずか5年半後には、現状の+8%から−16%まで「24%」(24ポイント)もの削減
をしなければならない、ということになります。
これを前回、「激変」と表現したのです。

国が「チーム・マイナス6%」と喧伝することは、かえって逆効果とも言えるのでは
ないでしょうか?
6%ぐらいならば、「頑張れば」なんとかなるかも…と感じる人も多くいらっしゃる
でしょうから。

前回お伝えしたように、日本には3.8%の「ゲタ」(森林吸収)がありますので、
これを使えば、上記の2012年には、−12.2%でよいことになります。
(−16%+3.8%=−12.2%)
また、国は1.6%は「京都メカニズム」を使う(排出クレジットを買ってくる)と
言っていますので、この場合、2012年には−10.6%が目標値となります。
(−12.2%+1.6%=−10.6%)
よって、現状の+8%から−10.6%まで「18.6%」の削減でよいことになります。

これでもかなりの激変ですよね。
EUが先進的な取り組みとして、「2020年には20%削減します」、と中期的な
目標を掲げたことが評価されていますが、日本が今直面している数字は、
すでにこれと同じぐらい「重い」ということがお分かりだと思います。

もう一つ、京都議定書と日本の温室効果ガス排出量の現状に関する
よくある誤解に関して、ご紹介します。
あまり、「面白い」話ではないのですが、しばらくお付き合い下さい。

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●02-2: 日本の排出量:「+8.1%はホントなの?」

日本のGHG(温室効果ガス)排出量は基準年に比べ、8.1%も増えています。
(2005年度速報値)
逆に言えば、8.1%の増加で歯止めが掛かっている、とも言えます。
本来は、−6%が目標なので、「歯止めが掛かっている」なんていう表現は
不適切かもしれませんが、カナダの+30%に比べれば、まだマシと言うか…

では、この削減(むしろ増加)の中身を見てみましょう。

基準年の総排出量は1,261百万トンであり、2005年度速報値の総排出量は
1,364百万トンで、確かに8.1%の増加です。
が、京都議定書で対象としている温室効果ガスは6種類もあります。

その代表格である二酸化炭素(CO2)は?
基準年 1,144百万トンに対し、1,297百万トン。

ん? +13.3%になってます。
さらにそのうち、エネルギー起源のCO2はどうなっているかというと、
基準年 1,059百万トンに対し、1,206百万トン。
なんと、+13.9%になっていました。

なぜこうなっているかというと、メタンやN2O、代替フロン等で大きく削減
されているおかげで、全体では+8.1%に抑えられているのです。
http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=8616&hou_id=7603
もちろん、これらの削減努力および実績は大変評価できます。

が、CO2、特にエネルギー起源のCO2排出量は減っていないどころか、
+13.9%と大幅に伸びており、まったく歯止めは掛かっておらず、
低炭素社会へのシフトはまったく実現していないことが分かります。

実は、メタンやN2O、代替フロン等は排出源が(比較的)限定されており、
対策も採りやすく、削減が(比較的)容易なガスであると言えます。
また、ほかにも例えば
・メタン排出削減の理由が、石炭採掘が減ったこと、であるとか、
・(京都議定書ではなく)モントリオール議定書において廃止が決まっている
 フロンHCFC22の生産が減ったので、副生物であるHFC23も自然に減った、
とか、必ずしも「削減努力」の結果として減ったとは言えないものも多くあります。

つまり、メタンやN2O、代替フロン等は、減らせる(自然に減る)ものは
既に減らしてきた、と言うことができ、
ここから先はまさに本命である、「CO2の削減」が必要になります。
が、実績は+13.9%…

もう一度、目標値を組みなおしてみましょう。(グラフだと分かりやすいと
思うのですが)
今回は最初からゲタ(森林吸収)3.8%と、京都メカニズム(クレジット購入)
の1.6%の2つを最初から加味して試算します。
(ゲタ合計5.4%:よって実質的な目標値が−0.6%)

大変乱暴な計算ですが、
2007年から2012年まで、直線的にコンスタントに削減すると仮定すると、

2007年  +13.9% (←2005年とほぼ同じと仮定)
2008年  +9.1% (a)
2009年  +4.2% (b)
2010年  −0.6% (c) (2008年〜2012年 5年間の平均で−0.6%)
2011年  −5.4% (c)
2012年  −10.3% (e)

2007年の+13.9%と2012年の−10.3%の差は24.2%(24.2ポイント)
となりました。
毎年毎年コンスタントに約5%(相当分)削減し、わずか5年半後には
今より24.2%もCO2排出量を減らす、ということが求められている
わけです。

現状から、24.2%の削減? やはり激変ですね…
「−6%」のイメージとは全然違いますよね。
上記試算では、もうゲタは使っちゃっていますから、
(もっとたくさんゲタを買ってくるという手は残ってはいますが…)
あとは努力です。
いえ、努力という表現は適切ではないかもしれません。
社会の「仕組み」を変えれば、案外スムーズに実現可能かもしれません。
が、どのような場合においても「激変」は痛みを伴う可能性が高いので、
なるべくスムーズな「シフト」が望ましいのです。

そのために、私たち一人一人、そして社会としての「知恵」と「行動力」
が必要とされているのです。

ところで、前号・今号と紹介してきた
・森林吸収3.8%を含む本当の目標値(国際的合意)は−2.2%であること
・2008年〜2012年 5年間の平均で−6%とすること
・エネルギー起源CO2は13.9%も増加していること
これらの例は、果たして本当に「誤解」なのでしょうか?

また、私たち一般市民だけが誤解しているのならばまだ傷は浅いと思うので
すが、もっと色んな方々が誤解されているような気がするのは、筆者の杞憂
でしょうか?…

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●03: イベントのご案内

お知らせのコーナーにも書きましたが、毎年恒例のイベント 、練馬区の
「環境月間行事」に出展予定です。
行事全体の日程は、6月9日(土)、6月10日(日)です。

グリーン・フォワードの出展時間と内容:

(1) 6/9 (土) 13:00〜15:00頃  環境ゲーム会「森林バイオマスすごろく」
(2) 6/10(日) 13:30〜15:30   環境と開発に関するワークショップ

場所: 大泉学園駅近くの「勤労福祉会館」

環境ゲーム会「森林バイオマスすごろく」は過去何度も実施しており、
http://www.greenforward.org/nerimamatsuri06.html
webサイトのほうで、その様子がご覧になれます。

また、「環境と開発に関するワークショップ」は、あるモノを通して、
環境だけではなく、社会や経済とのつながりを考える、体験型のワークショップ
です。
事前に内容を具体的にお伝えできないのが難点なのですが、
http://www.greenforward.org/nerimagekkan0604.html (昨年の様子)
目からウロコ!な、好評なワークショップです。

皆様のご参加お待ちしております。(^o^)/
(2)のほうは、事前申し込みをお願い致します。

転送・転載歓迎です。
また、当日(事前)ボランティアご協力頂ける方も募集中です。


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No.067  2007/5/13

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