メールマガジン バックナンバー No.073





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環境・持続可能な社会へのみんなの一歩
                    グリーン・フォワード 
http://www.greenforward.org
No.073  2009/1/04
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《目次》
●01: グリーン・フォワードからのお知らせ
●02: プランB予算

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●01: グリーン・フォワードからのお知らせ

メルマガ読者の皆様、こんにちは。

メルマガ発行が大幅に滞って申し訳ありません。
右足首の怪我はまだ治らないというか、障害が残ったかな…という感じ。
一応普通に歩いているように見えますが、足首を使わず、膝を使って
歩いている感じです。なので、膝も痛い…

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大きな飛躍を遂げようとしています。

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すみません、今回も、軽く短めの原稿です。
本来は昨年中の発行がふさわしい内容ですが、ご容赦下さい。


●02: プランB予算

2007年のサブプライム危機の表面化から始まり、2008年にはついに世界的な
金融危機、経済不況へと突入したようです。

ここ数年、アメリカを中心として世界的に一種のバブル状態だったため、
そのバブル崩壊の影響は非常に大きいようです。

株価の大幅な下落や、不動産価格や様々な資産価格の下落により、昨年一年で、
世界の「富」の多くが失われたとされています。

色んな数字があるので、ここでは2008年12月31日の日本経済新聞の記事から
世界の主要な株式市場の時価総額の変化を見てみましょう。

国際取引所連盟によると、世界の株式時価総額のピークは2007年10月末の、
63兆0500億ドル(5700兆円)でした。
それが、2008年11月末には31兆2500億ドル(2800兆円)となりました。
つまり、31兆8000億ドル(2900兆円)が消失したことになります。

あまりに凄い金額で、庶民の筆者にはよく分かりませんが…
これは株式だけなので、不動産など他の資産も含めると、もっと大きな金額の
資産価値が消失してしまったことが容易に想像できると思います。


さて、ここからが本題ですが、世界を持続可能なものにするためには、どれぐらい
の費用が掛かるでしょうか?

レスター・ブラウン氏の『プランB 3.0』で、その項目と費用の概算が紹介されて
います。

プランBでは、「Social Goals(社会的目標)」と「Earth Restoration Goals(地球
修復目標)」の、大きく2つに分類しています。

基礎的な社会的目標の項目は以下のようなものです。
項目の後ろの金額は、1年あたりの追加的必要金額(現在も何らかの支出が
なされているが、本来必要な金額とのギャップ、つまり不足額)です。

初等教育の普及 100億ドル(9000億円)
Universal primary education

成人の非識字の解消 40億ドル(3600億円)
Eradication of adult illiteracy

最貧国44ヶ国における学校給食プログラム 60億ドル(5400億円)
School lunch programs for 44 poorest countries

最貧国44ヶ国における就学前児童と妊婦への支援 40億ドル(3600億円)
Assistance to preschool children and pregnant women in 44 poorest countries

リプロダクティブヘルスと家族計画の普及 170億ドル(1兆5300億円)
Reproductive health and family planning

基礎的な保健医療の普及 330億ドル(2兆9700億円)
Universal basic health care

必要とするコンドームの入手 30億ドル(2700億円)
Closing the condom gap

合計 770億ドル(6兆9300億円)


地球修復目標の項目と費用は以下のようなものです。

植林(洪水を減らし、土壌を守るため) 60億ドル(5400億円)
Planting trees to reduce flooding and conserve soil

植林(CO2を吸収固定のため) 200億ドル(1兆8000億円)
Planting trees to sequester carbon

農地の表土の保全 240億ドル(2兆1600億円)
Protecting topsoil on cropland

放牧地の再生 90億ドル(8100億円)
Restoring rangelands

漁場の再生 130億ドル(1兆1700億円)
Restoring fisheries

生物多様性の保全 310億ドル(2兆7900億円)
Protecting biological diversity

地下水位の安定化 100億ドル(9000億円)
Stabilizing water tables

合計 1130億ドル(10兆1700億円)


そして、この社会的目標と地球修復目標、両者の総合計は
1900億ドル(17兆1000億円)です。

これも凄い金額ですが、さきほどの株式総額の消失31兆8000億ドル(2900兆円)
に比べると、たったこれだけ?という感じがします。
プランB予算は1年間の金額なので単純な比較はできませんが、株価消失に
比べるとほんの0.6%にすぎません。
プランB予算を10年継続したとしても、今回消失した金額のほんの6%です。

株価が下落する前に、そのほんの1%でもこちらに廻してくれればよかったのに…
と思ってしまいます。

株式の所有者にしてみても、ただ消失してしまうよりは、世界のために役立つ
使い方をしたほうがよっぽどよいと思うのではないでしょうか。


どうやら世界には莫大な富があるようです。
一方で、世界を持続可能なものとするための様々なプログラムは慢性的な
資金不足に悩んでいます。
世界の富のほんの一部を振り向けるだけで、より良い、持続可能な社会へと
導くことが可能ではないでしょうか。

富とは金銭だけではないでしょう。
私たちの社会には、有り余る「やる気に満ちた有能な人材」、その人々が生み出
してきた「知恵と経験」、「社会的制度」、など大きな財産が溢れています。
また、普段はごく身近な者に向けている「愛情」や「思いやり」など、本当に人間ら
しい「富」を、あともう少し、広い世界と将来世代に向けてみてはどうでしょうか。
幸い、これらの富は、少し振り向け先を変えても、金銭とは異なり、減ることは
ありません。

プランB予算は、決して非現実的なものではありません。
また、その支払いを先延ばしにできるものでもありません。

2009年は良いニュースが多い年となることを期待しています。

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No.073  2009/1/04

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